2024/11/20

あなたの椅子

11月11日はポッキーの日、なんて言ったりする。私にとっては、この前日、11月10日が特別な日だ。かつて親友だった者の誕生日だからである。

私には執着心というものがほとんどない。あらゆることに対して無頓着だ。なので、記念日の類は覚えられないし、意識にものぼらない。親Mのことは大好きだけど、それでもMの誕生日から一週間くらい経って、もしかして過ぎてねえか? となり、そしてようやくおめでとうとメッセージを送るような状態である。

そんな私が、11日に、10日のことに思いを馳せたのだから驚きの事態である。そのくらい、あのひとへの思いは、特別だ。もしかすると、こうして別れなければ特別にはならなかったのかもしれない。いや、どうだろう。もしものことは、わからない。かつてどうであったのかさえも、もうあやふやだ。

あのひとは、まだ私のことを思うことがあるだろうか。それとも、すっかり忘れて生きているのだろうか。どちらだったとしても、どうか、どうか少しでもあなたにとって幸せな日が一日でも多くなるよう、祈らせてはくれないだろうか。

縁が切れた当初は、またいつか友人に戻れないだろうか、と考えたものだが、今はもうそのような気は起きない。もうあなたの隣には立てない。良くも悪くも。私は変わった。変わってしまった。たぶん、あの出来事が無かったとしても、私たちは別れていたんじゃないだろうか、なんて思ったりもする。

さみしいな、と思う。私を相棒と呼んでくれたあのひとは、もう私の隣には居ない。あのひとの名前が刻まれた椅子だけが置いてある。私はそれをそっと撫でる。たまに掃除機もかける。もう誰も座らないそれを、私はきっと後生大事にし続けることだろう。